こんにちは、四十雀です。
今回は、元湯甲子温泉「旅館大黒屋」さんのご紹介をいたします。
旅館大黒屋さんがある甲子温泉の開基は至徳元年(1384年)のこととのことで、至徳元年が「甲子(きのえの)の年」のため、「甲子温泉」と名付けられたとのことです。
また、旅館大黒屋さんの敷地内にある別館「勝花亭」は、白河藩主松平定信公の別荘であったとのことです。
松平定信公は8代将軍・徳川吉宗の孫で、寛政の改革で有名な人物です。
このように、甲子温泉と旅館大黒屋さんは、とても歴史のある温泉宿であることが分かります。
旅館大黒屋さんは西白河郡西郷村にある温泉で、福島県を縦断する国道4号線から国道289号線(通称:甲子道路)を西に向かい、新甲子温泉を抜けた先、甲子道路を横に逸れた場所にある旅館です。
若干手ブレしていますが、助手席から走行中の国道289号線を撮影したものです。
国道ですが、このように周囲の木々が生い茂り薄暗い場所が多くあります。甲子道路が整備される以前、この付近は難所とのことでした。
全くの余談ですが、現在の小峰城から旅館大黒屋さんまでは、約23Km程です。当然、当時の道と現在の道は異なるため、松平定信公がこの地まで来るためには、どのような装備でどの程度時間がかかったか、興味深いところです。
(江戸時代の旅では、1日8里(約32Km)程度は歩いたとのことなので、この距離であれば、ぎりぎり1日で行けたのかも知れません。)
旅館大黒屋さんの佇まいです。
先に、甲子道路を横に逸れた場所、と簡単に書きましたが、甲子道路は大分標高の高い場所を通ります。その甲子道路から横に逸れて下り降りた、周囲を山に囲まれた場所にあります(私が使用するUQモバイルは圏外です。)。
旅館大黒屋さんの周囲の写真です。緑豊かです。
駐車場にあった周辺看板です。分かりづらいですが、赤丸の場所が旅館大黒屋さんの場所です。
同じく旅館大黒屋さんの敷地内には、登山用の届けポストがあります。
旅館大黒屋さんは、「日本秘湯を守る会」に加入しています。
設置された休憩スペースには、「阿武隈水」が置かれています。福島県・宮城県を流れる阿武隈川は、この周辺をその水源としています。
休憩スペースから眺められる庭は、とても綺麗で立派です。
お風呂へと続く途中にはさらに休憩できるスペースがあります。少し時代の感じられる登山案内略図がありました。
内湯前(なお、厳密には、内湯と露天風呂がありますが、便宜上「内湯」とします。)の写真です。この先に、さらに別のお風呂があります。
内湯の温泉分析書です(若干見づらいです・・・。)。
さて、先程の内湯をさらに先に進みますと大岩風呂があります。
大岩風呂へ向かう途中、下駄箱がありますが、ここにはさらに貸コートと貸長靴があります。
旅館大黒屋さん周辺は冬場はかなり雪の降る場所のため、防寒具が必要になるためです。
大岩風呂への道のりはとても長いものがあります。
ついに外に出てしまいました・・・。
橋から眺められる川はとても綺麗で、ヤマメかイワナか、マス系と思しき魚が泳いでいるのが見えました。放水しているのが、温泉のお湯だと思われます。
こちらが大岩風呂の入口です・・・まさかの混浴です。
なお、櫻の湯は女性専用です。
大岩風呂の温泉分析書です。
旅館大黒屋さんのパンフレットです。
旅館大黒屋さんの温泉ですが、内湯と大岩風呂では、泉質と湯加減が大分違います(詳細は後述)。
内湯は無色透明で、特に匂いはありません。水質はとてもよく、透明度が高いお湯でした。
また、お湯の温度は気持ち熱く、露天風呂では外気温に晒され長湯が出来る感じがします。
ただ、どうしても山地に囲まれているため、露天風呂には虫(特にアブ)が多く出そうな雰囲気がありますので、入る際には注意が必要だと思います。
なお、後述しますが、内湯に入れる時間帯は短いため、来訪される際には注意が必要です。
内湯には何とも珍しい、クマザサエキス入りのアメニティが置かれています。
大岩風呂も内湯同様、とても水質が高い無色透明のお湯でした。非常に大きい岩風呂のため、お湯が外気温に触れ若干温めに感じられます(以前、雪が積もる冬場に来たことがありますが、その際はかなり温く感じました。)。
少し深めのお風呂に、歴史を感じさせる木造の建物は一見の価値があると思います(なお、いくら混浴とは言え、女性はさすがにいないだろう・・・と思っていたところ、女性がいたのにかなりびっくりしました。)。
自然を満喫しながら、綺麗な水質のお風呂に入り、最後は美味しい阿武隈水を飲む・・・とても贅沢な時間を過ごすことができる秘湯だと思います。
ぜひ一度、お試しの程を。
温泉データ
元湯甲子温泉 旅館大黒屋(源泉掛け流し)
[場所]
福島県西白河郡西郷村
[泉質]
内湯
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)
大岩風呂
単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)
[源泉温度]
内湯
45.1度
大岩風呂
45.1度
[pH]
内湯
7.8
大岩風呂
7.8
[施設概要]
内湯、露天風呂
大岩風呂(混浴)、櫻の湯(女性専用)
アメニティは内湯&露天風呂のみ、大岩風呂&櫻の湯はアメニティ使用不可
その他、休憩スペースや食堂有
[営業時間]
午前10時~午後3時
(ただし、内湯&露天風呂は午後1時まで)
[料金]
700円
(令和元年7月13日現在)