こんにちは,四十雀です。
今回は,郡山市で見かけた年中行事についてご紹介したいと思います。
それは令和2年1月11日土曜日のことでした。
その日,休日出勤で職場へ向かう途中,通勤経路にある小さなよそ様の畑を見たときのことです。
何か畑に置かれている・・・咄嗟にスマホで写真を撮影しました。
これは一体・・・?
帰宅後,自宅にある文献を調べてみたところ,どうやらこれは「クワイレ」という年中行事であることが分かりました。
「クワイレ」は「鍬入れ」のことで,地方により,ノウハジメ(中通り,会津地方),ノウダテ(浜通り地方)などと呼ばれており,1月11日は「農はじめの日」のため行うものとのことです。
では,実際具体的に何をするかという点ですが,地方により次のような特色があるようです。
・中通り地方
正月の拝み松(東北地方で正月に家内に祀る松の枝)を田畑に立て,お供え物をして田畑の神を祀ります。
今回の写真は,まさにこれが該当していると思います。
・会津地方
アキの方に行き,肥の上にわらを刺して田植えをし,また,この日荷縄や馬の道具を作ります(「アキ」が何か分かりませんでした・・・。)。
・浜通り地方
田畑に二,三鍬を入れ,松や榊を立てた後,餅や白米を三ヶ所に供え,供えた場所について,心中で「早稲,中稲,晩稲」を定め,「おからす,おからす」と唱えます。
そして,からすが来て一番先についばんだものをその年に蒔けば豊作とのことです。
つまり,田畑の神様を祀り,浜通り地方ではさらに一種の占いも行う,農業従事者にとっては大事な年中行事であったようです。
近年,この年中行事がどの程度行われているかは不明ですが,今回,非常に貴重なものを見ることができたと思います。
今後も,脈々と続いている年中行事について調べ,ご紹介できるものがあれば記載してみたいと考えております。
参考資料
日本の民俗 福島(第一法規)
磐城誌料歳時民俗記(歴史春秋社)