こんにちは,四十雀です。
今回は少しミステリーな話について,少しつぶやかせていただけたらと思います。
今年(令和3年)3月、福島県耶麻郡西会津町で、当時22歳の大学生が駅に知人女性を迎えに行ったまま行方不明となり、その後、大学生の車が阿賀川で発見、助手席から知人女性の遺体は見つかるものの、大学生自身は見つからない、という事故が発生しました。
地元ニュースではすぐ流れていた話で、私自身、大学生もすぐに見つかるのかな、と思ってニュースを見ていましたが、その後続報は流れず・・・。
ついに、行方不明の大学生も、遺体は見つからないものの、事故で死亡した、と警察は発表をしました。
しかし、川の中に車が転落した、ということならば、知人女性同様、車内で遺体が見つかりそう(シートベルトを着用していたら、の前提ですが。)なものですが・・・このニュースが流れた時から、本当にミステリーに感じていました。
いずれにしましても、2人、お亡くなりになった事故、両名のご冥福をお祈りしたいところです。
ところで、今回のケース、警察が「事故で死亡したとみられる」と発表したのはいいものの、その後、法的な話はどうなるのか、少し疑問があります。
と、言うのも、人が死亡した場合、死亡診断書等を付けて死亡届を市町村役場に提出することにより戸籍上死亡したことになるのですが・・・今回のケースでは、死亡診断書等のような、死亡したことを示す資料は発行できないような・・・。
死亡届が出せないとなると、警察の発表にも関わらず、戸籍上はまだ生きている・・・というより、「生死不明」の状態になると思います。
そして、その状態を解消するためには、家庭裁判所に失踪宣告の申立て(民法30条)をする必要がありますが、通常、失踪宣告は、行方不明者(不在者)の生死が不明になってから7年間経過した後でなければできません。
例外として、危難失踪といい、戦地に臨んだ者や沈没した船舶にあったものその他死因の原因の危難にあった場合には、一定の要件のもと、危難が去ってから1年間経過した後で申立てができますが・・・今回はこれに該当するかは分かりません。
なぜ、7年間という長い期間を経てからでないと、失踪宣告をすることができないかというと、この手続は、本人が知らない間にその本人を戸籍上死亡したものと同様にする手続だからです。
つまり、おいそれとはできない、という手続であることを示すものなのですが・・・そう考えると、今回、警察が簡単に「事故で死亡したとみられる」と発表したのは少し違和感が。
遺体が見つからない以上、まだ生死不明なのですし、単に「捜索打ち切り」という表現となるのでは・・・なんて思えてなりません。
いずれにせよ、本当にミステリーな事故に思えてなりません。
(令和3年5月24日)