四十雀の素人・初心者による週末農業(+α)日記

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福島県在住のアラフォーど素人初心者の手による週末農業(野菜・ハーブ育成)の様子を始め,県内(及び隣接県)の温泉,日本酒,釣り紀行,各種写真(野鳥,風景,猫等々)等,名産品や見所をゆるくご紹介するブログです。

新居を建てる話(総集編・その2)

 こんにちは,四十雀です。

 さて,今回の新居を建てる話ですが,「建物」についてではなく,建物を建てる場所・・・そう,土地について,今回私が家を建てる際に感じたことについて書いてみたいと思います。

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 前にもご紹介いたしましたが,今回,私が新居を建てた土地というのは,私が購入した物ではなく,所謂「父祖伝来の土地」という物で,現在は私の父親名義になっていますが,実は,この土地には,私の先祖を債務者とする,明治時代の抵当権が設定されていました。

sizyuukara-1979.hatenablog.com

 

 

 その抵当権については,前にもご紹介したとおり,少し時間はかかりましたが,ちょっとした裏技を使い,私がメインに動き抹消手続を行いましたが・・・。

 もし,仮にこのような抵当権(特に明治・大正・昭和初期等の古いもの)を残したままにしておくと,新居を建てる際にどんな弊害があるか,少し調べてみました。

 まず,そもそも「抵当権とは何ぞや?」というところから始まる話かと思います。

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 抵当権は,ざっくりと言えば,不動産を担保にしてお金を債権者から借りる際に設定(登記)するもので,抵当権を設定する不動産は別に債務者本人の不動産でなくとも大丈夫で,第三者の不動産にも設定が可能です(我が家がまさにそれで,住宅ローンを借りる際,父親名義の土地に抵当権を設定しています。)。

 

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 そして,抵当権を抹消するためには,当然のことながら,借りたお金を返せば抹消することが可能となります。

 

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 実は,この「お金を返せば抹消することができる」という点がミソで,裏を返せば,「お金を返さないとずっと抹消されず残る」ということになります(今回の私が新居を建てた土地がまさにそうです。)。

 お金を返さないとずっと抹消されず残る,ということは,土地の所有者が相続によって変わろうが,売買によって変わろうが,抵当権は残った状態となります(あまりケースはないと思いますが,抵当権が付いたままの不動産が売られることもあるようです。)。


 そして,抵当権が抹消されていない,つまり,債務者が借りたお金が返していないとどうなるか,と言いますと,債権者は,抵当権を実行して,貸したお金の回収する方法を選択することになります。

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 この「抵当権の実行」というのは,裁判所に対し,抵当権の設定された不動産を売ってもらう,競売の申立てをするというものです。

 ところで,債務者によっては,抵当権を設定した債権者以外からも借金をしている,そんなケースが往々にしてあります。

 一応,それら債権者も,一定の要件を満たせば競売手続の中で不動産を売って出たお金の中からおこぼれをもらえるよう要求することは可能です。

 ただ,このように債権者が複数いるような場合では,実は,抵当権を設定した債権者がそれ以外の債権者よりも優先して売れたお金をもらうことができる,というメリットがあります。

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 これがまさに抵当権を設定する理由であり,実際,住宅ローンの融資を受ける際には,銀行やその関連する保証会社により抵当権を設定した上で融資を受けることになるのです。

 少し長くなりましたが,抵当権についてのざっくりと説明してみました。

 では,最初に書いたとおり,特に明治・大正・昭和初期等の古い抵当権が付いている土地に新居を建てる際どのような弊害があるか,考えてみました。

 

1 抵当権が実行されるリスク

 上記したとおり,抵当権を残したままにしておくと,債権者(抵当権者)が実行する可能性がある・・・と,書いてはみたのですが,実際そんな古い抵当権が実行される可能性は限りなく低いと思います。

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 それは,債権者(抵当権者)自身,すでに物故している可能性がありますし,その相続人が抵当権を実行することもできるでしょうが,そのためには相続した旨の登記(付記登記)が必要とのこと。

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 そもそも,この手の古い抵当権で担保されている債権額は大抵の場合10~100円台,つまり,戦前の貨幣価値による金額です(債権額は不動産登記事項証明を見れば分かります。)。

 もし,債権者(抵当権者)から請求が来たとしても,債権額及び利息・損害金(利率もまた不動産登記事項証明を見れば分かります。)を支払えばよく,その額は多くても数千円で済むと思います。

 実際,私が古い抵当権を抹消した際,債権者(抵当権者)に支払った(弁済した)ことにした額は3000円程度でした。


 そして,逆に,抵当権を実行,つまり競売の申立てをした場合,実は,費用として数十万円かかります。

 たかだか数千円回収するために数十万円の費用を使うのはおかしい話ですし,そこまでするのはよほど嫌がらせをしたい人くらい,まずそんな人は皆無でしょう。

 ただ,これはあくまで債権額が低額な古い抵当権の話であり,現在の貨幣価値で設定されている抵当権であれば,債権者(抵当権者)からすれば,抵当権を実行するメリットはあるので注意が必要です。

2 銀行が抵当権設定を必要とする住宅ローンの融資をしてくれない

 多分,一番考えられる弊害はこれだと思います。

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 実際,私も銀行から,古い抵当権を抹消する必要がある的な説明を受けました(幸い,銀行に相談した時にはすでに抹消した後でしたが。)。

 その際,古い抵当権があると住宅ローンの融資を受けられないかまでは聞きませんでしたが,憶測で考えてみると,次のような話なのかな,と思います。

 まず,抵当権自体は,一つの不動産に複数設定することが可能です(その場合,順位が付けられます。)。

 古い抵当権がある,ということは,当然銀行の抵当権はその次(またはそれ以下)の順位になると思いますが,抵当権を実行し競売にかけ,その売れたお金をもらう順番というのは,この抵当権の順番によってなされることになります。

 その場合,もし,銀行より優先する古い抵当権に借金が多くある場合(あまり考えられませんが),銀行がもらえるお金が目減りする訳で,そういう意味では,この土地は担保するだけの価値がない,ということで,抵当権設定を必要とする住宅ローンの設定を銀行が嫌がっているのかな・・・と思いました。

 このように,古い抵当権というもの,すぐに何か影響があるかというとそうでもないものですが,色々突き詰めて考えると,色々と厄介になる場面は多々あるようです。

 以上,色々と長く書いてしまいましたが,
もし,新居を建てる予定地にこのような古い抵当権が設定されている場合には,早めに手を打った方がよろしいと思います(特に,私のように父祖伝来の土地に新居を建てる場合には,あらかじめ登記事項証明を見ておく必要があります。)。

 また,古くない抵当権の場合,いつ実行されるか分からないですし,実行されたらシャレになりません(それは不発弾のようなものです。)。

 どんな場合でも,まず,新居を建てる際には不動産登記事項証明を見る,それが大事ですね。